先日ドラマの撮影をしていたのを見たのですがもう完全に冬服でした。きっと放送されるのは寒い冬になるのでしょうか。このところ急に冷えてきました。気温が低くなると感染症も増えますし血圧も上がりますから、あまり寒くなりすぎないことを祈っています。
~今回は少し長いので血圧について知りたい方のみ御覧いただければ幸いです~
さて、血圧についてです。血圧はとても大事です。今回は糖尿病に絞って血圧のお話しをいたします。まず血圧とはなんでしょうか?血圧とは心臓から血液を送り出す圧力のことです。高いほうを収縮期、低いほうを拡張期と言います。一番高いのは心臓が一番収縮したとき、一番低いのは心臓が一番拡張したときだからですね。
血圧を決める要素は3つです。
①血管に流れる水分の量 ②心臓の力 ③血管の抵抗です。
①血管に流れる水分の量
これは実は塩分の事です。血管の中の水分の量は塩分が決めています。
実は血管の中と外は水分は自由に行き来できるのと、尿などで水分量は自動調整されていて、(よくある「水太り:水を飲んだら太る」という概念は医学的には証明するのが難しいです。)塩分量で水分量が決まるのです。日本人が塩分多いのはみなさま良く御存じですよね。
味噌汁、漬物、調味料などを控えるのが基本になります。汁物は飲まないようにして 味噌汁などは具だくさんで汁は飲まないように。漬物もなるべく浅漬けが良いです。調味料もポン酢やワサビ、からし、レモン果汁などをうまく使い、しょうゆやドレッシングなどは上からドバーっとかけることは控え、小皿に出してチョコンとつけるのが基本です。
②心臓の力
これは動いたあとや朝、に血圧が高くなる理由ですね。ホルモンの関係などで日内変動があります。安静で測定するのが基本ですね。当院の場合、採血がある方は採血後にしばらく座っていただき「そろそろ診察に呼ばれるかな~?」くらいで血圧を測定するとよいと思います。細かい振動を感知しているため会話をしたり咳をすると異常値が出ることがあります。尿を我慢すると血圧は上がりますから用を足した後しばらくしてから測定するとよいですよ。測定はタ●タさんやオ●ロンさんなどの有名ブランドの肘のタイプで自宅で行う事をおすすめします。5000円~1万円程度のものが良いと思います。最近は不整脈モニターがついている機種やスマホにデータを蓄積できる機種もおすすめですね。
③血管の抵抗
いわゆる血管年齢で血管の固さです。年齢やタバコの影響が大きいです。その他ストレスや不眠なども影響があります。夜中のいびきや呼吸停止、頻尿に加え朝の頭痛や日中の眠気がある方は睡眠時無呼吸症候群で高血圧になっている可能性もあります。夜中のうちにまるで首を絞められるようなストレスを受けているわけですから。高血圧のお薬が3種類以上でている方の多くに睡眠時無呼吸症候群があるというデータもあります。その他まれなものとして副腎や甲状腺の異常のこともあります。当院ではホルモン検査や無呼吸の検査も行います。不整脈などが出ている方は循環器内科に相談してください。
最後に血圧の目標値についてです。
最近は血圧の目標値が下がり、もしかすると『製薬会社の陰謀だ!』なんで意見が世の中にはあるかもしれません。今回は当院通院中の患者さんでポイントを絞って血圧の目標を説明したいと思います。
ズバリ『尿たんぱくが出ている方!』です。
変な話なのですが「多少の高血圧の方が体としては調子が良いと感じる」と思います。極端な低血圧だとフラフラしますからね。たちくらんだり。それは例えれば「シャワーの水圧が高いほうが浴びる人は気持ちいい」みたいなものだとしましょう。せっかくの旅行でホテルにいって水圧が低かったらがっかりしますよね。
ところがです、もしシャワーの裏の配管から水漏れを起こしていたらどうでしょうか?ホテルの壁の裏が徐々に水浸しになっていたら大変ですよね。そしてその場合、業者さんは水圧はなるべく低くして水漏れは進行しないようにするかもしれないですよね?
これが尿たんぱくが出ている人が血圧を下げる必要がある理由に相当するのです。腎臓というのは毛細血管に圧力をかけて血液から尿をろ過します。しかし糖尿病や高血圧でダメージがあると足細胞(ポドサイトといいます)が傷つき、そこから尿たんぱくが漏れるのです。
なので糖尿病があり、尿たんぱくがある方はむしろ何もない方より血圧をより下げたほうが良いのです!これが血圧を下げる理由です。
「血圧は自然のものだから下げなくていいんだ」
「動脈硬化は年齢によるから血圧が上がるのは仕方ないんだ」
「血圧の薬は一度始まったら一生やめられず薬漬けになるから飲まないんだ」
という考えも一般にはあるかもしれません。それもなんとなくお気持ちはわかります。ただ、腎臓が傷つき、腎不全になり血液透析に移行するリスクのある方はキッチリ血圧を下げたい理由がここにあります。
今回は尿たんぱくに絞ってお話ししましたが、他にも脳や、心臓、大動脈など血圧を下げる理由はいくつかありますので「尿たんぱくが出ていないからもう血圧の薬は飲まなくてよいんだ!」という事ではないので診察時に確認してくださいね。尿たんぱくが出ているか診察の時に説明していると思いますがわからない方は直接聞いてください。
すこし長くなりましたが今回のお話しは以上です。