糖尿病

糖尿病

ポリシー

糖尿病とは食事を制限しなければいけない病気でしょうか?
食欲というのは人間に元来備わった欲であり、生物として生きていくために必須の欲求ですよね。
例えばサバンナで、炭水化物ダイエットのことを考えて獲物の一部を敢えて残す生き物がいるでしょうか?
僕は子供の頃に、食事を残してはいけないと、お米一粒だって農家の人に感謝して食べなさいと教わりました。
大体の日本人はそのように教育を受け育ったのではないでしょうか?糖尿病の有病率と自動車の保有率が比例しているというデータがあります。(2014年カナダ)
日本も戦後豊かになり自動車保有率は上昇を続けました。
それと比例してパソコン業務も増えました。私を含めて1日中パソコンの前に座っている方も多いのではないでしょうか?
(自動車運転も同じですよね)でも仕事を辞めて、1日2万歩あるけと言われてもそれは無理な相談です。
確かに食べ過ぎは良くありません。
ジュース、アイス、菓子パン(菓子パンは「菓子」です)果物 などの摂りすぎは糖尿病を急速に悪化させます。しかしそこだけ抑えても糖尿病は簡単に治る病気ではありません。
知人は、会社の同僚は、自分より食べて太っている。
運動もしていないというのに糖尿病ではないらしい。
なぜ自分だけが糖尿病と言われなければならないのか?糖尿病は決して恥じる病ではありません。
食べたいものを食べて、寝たい時に寝るのは生物として当然の欲求です。
しかしそれで糖尿病を放置して良いのでしょうか?

糖尿病は気合で治る病気ではありません。
鉄の意志でひたすらカロリーを抑えてダイエットに取り組んでもリバウンドしてしまうというのはよくある話です。
しかし正しい知識を持って日々の生活を一つ一つ改善していけば糖尿病はコントロールできる病気です。皆様の明日へのより良い一歩を踏み出すお手伝いが我々の仕事です。
糖尿病のコントロール、ないし糖尿病が不安な方は当院にご相談頂ければと考えております。

糖尿病

2015年のIDF(国際糖尿病連合)の発表によると世界中では11人に一人が糖尿病と言われ、さらにその半数が自身が糖尿病と気づいていないと言われています。(1
また日本においては19〜79歳では13.8人に一人が糖尿病と言われています。(1, 2, 3
(出典:1, IDF Diabetes Atlas2015 2,『人口推計』総務省統計局 2015年 3,『患者調査の概況』厚生労働省)

糖尿病の患者数は年々増え続けおり、その一番怖いところはほとんど自覚症状がないということです。
自覚症状のないまま、血管を傷つけることで糖尿病に特有の合併症や一般的な血管障害を起こします。
糖尿病には様々なタイプがあります。以下に代表的なタイプをお示し致します。

2型糖尿病

遺伝と生活習慣を背景とした糖尿病で、ほとんどの方がこのタイプです。
しかしその原因も複数あり、飲料の問題、食事内容の問題、運動不足の問題、遺伝の問題、膵臓の能力の問題など細かく成り立ちを調べる必要があります。一言に2型糖尿病と言っても治療方針は全く異なります。
薬物療法に関しても近年は複雑化しており専門知識が必要になる場合が多くあります。使用方法によっては薬物が期待される効果を発揮できない場合もあります。
当院では院長が糖尿病専門医の資格を有しており、患者様一人一人の全身状態と背景を十分に把握した上でそれぞれに最適と思われる治療を御提示させて頂きます。

ペットボトル症候群(ソフトドリンクケトーシス)

2型の中でもスポーツドリンクなどの過剰摂取によるもので、若い方に多い病態です。
高血糖状態になると喉が乾くのですが、その状態で糖入りの飲料を過剰摂取することでさらに高血糖を助長するというものです。ペットボトル入りの飲料に限らず紙パック入りの糖入り飲料やビン入りの飲料、果物の過剰摂取などでも起こります。
最近やけに喉が乾く、夜間に尿で起きるようになった、(ソフトドリンクなどの)水分を多く取っているのに体重が減り始めた、これらの症状が出現したら要注意です。

1型糖尿病

主に自己免疫による糖尿病であり生活習慣は関係ありません。
インスリンの注射が必要ですが一部の制限以外は通常の生活を過ごす事が可能です。
当クリニックでは大学病院での専門外来での経験を生かし、各種インスリン製剤の特徴に合わせた処方、様々なデバイス(詰め替え式、バイオシミラーインスリンなど)の運用、カーボカウンティング、患者会の紹介などを行います。
保険診療が認められているインスリンポンプも取り扱っております。(機種に限りがありますのでお問い合わせください。)
また、火曜日に勤務している東海大学病院の外来及び入院にて、CGM(1週間の連続血糖測定機器)装着などの高度機器の取り扱いも可能です。(事前に相談が必要です、お問い合わせください。)
より楽しく充実した日常生活を送る事が出来るようにサポートをさせていただきたいと考えております。

その他の糖尿病

近年増えているのがステロイド薬使用に伴う高血糖です。ステロイド薬はリウマチなどの自己免疫疾患や、抗がん剤の副作用対策など幅広く用いられます。
ステロイド薬を使用するとホルモンの関係などで糖尿病になったり、糖尿病が悪化したりします。
当クリニックでは大学病院での様々な経験を生かし様々なステロイド薬による高血糖状態に対応いたします。
また妊娠に対する高血糖、膵臓摘出後、透析患者の糖尿病、在宅での栄養剤使用に伴う糖尿病など専門知識を必要とする複雑な病態での高血糖状態の調整も得意としております。
また、高血糖状態では全身麻酔〜簡単な日帰りなどの手術が施行できない事があります。
そういった手術前後の血糖値の管理も当クリニックにお任せ下さい。

糖尿病の合併症

これらは糖尿病が始まってから約10年程度で起こってきます。
毎年検診を受けていて糖尿病を指摘された直後から突然合併症を起こすことはありません。

神経症

一般的には足壊疽とも捉えられます。足の感覚が鈍ることで傷に気づかず細菌感染や血流低下から足壊疽を起こす事があります。また立ちくらみや、下痢などの胃腸障害を起こす事もあります。
当院では糖尿病神経障害の検査を行っております。
設備機器紹介:「HDN−1000」

網膜症

自覚症状がないままに進行します。糖尿病は定期的な眼科受診が欠かせません。
糖尿病のコントロールが十分でない状態で眼科受診を疎かにすると失明の危険性があります。
当院ではかかりつけとなる眼科医をご紹介申し上げることが可能です。
また、糖尿病の治療連携に重要な『糖尿病眼手帳』を無償でお渡ししております。

腎症

血液をろ過して尿を作る臓器が腎臓ですが、 血糖値のコントロールが十分でないと腎臓の機能が低下し最終的に腎不全になる事があります。腎不全になると透析治療もしくは腎移植が必要になります。
腎機能の低下が進行した状態で血糖値のコントロールを始めても手遅れの事があり、早期の診断と早期の治療介入が必要です。当院では一般に測定される尿たんぱくよりも早期に腎臓の障害を察知する糖尿病性早期腎症の検査であるアルブミン尿の検査を施行致しております。
設備機器紹介:「AUTION eleven」

また、万が一腎不全に至った場合でも大学病院で腎不全治療に携わった経験を活かし近隣の透析施設とのスムーズな連携や、東海大学の移植外科への紹介が可能です。
東海大学病院 移植外科

よくあるご質問

インスリンを一度打ったらやめられないというのは本当ですか?
全くそんなことはありません。よくある誤解は1型糖尿病と2型糖尿病を混同することです。
診療のご案内:「糖尿病」
1型糖尿病は基本的にはインスリンが必要な病態で2型は基本的にはインスリンは不要の病態です。
ただし2型でもインスリンが必要な時があります。それはあまりにも血糖が高すぎる、手術が控えている、妊娠中、病気の期間が長い、特殊な遺伝、体質などです。
その中でも重要なのが、体質です。インスリンというのは胃の裏にある膵臓という臓器から分泌されているホルモンです。
膵臓を皆様ご存知でしょうか?あまり馴染みのない臓器だと思いますが糖尿病にとっては最も大事な臓器です。
いわゆる「糖尿病の家系」と言われる方々は「膵臓のインスリン分泌が少ない家系」ということができるかもしれません。
特に注意が必要なのは太っている方よりも痩せている方、最近特に痩せてきた方です。
当院では専門クリニックならでは膵臓のインスリン自己分泌能力の測定(採血と採尿両方、もしくはどちらか一方)を行っています。
ご自身がインスリン分泌が弱く補充が必要な体質なのか?それとも十分にインスリンが分泌されていて注射は必要ない体質なのか?
それともどっちとも言えない体質なのか?御確認頂く事が可能です。
糖尿病だと足を切ったり失明したり透析になると聞きました。
大丈夫でしょうか?
糖尿病だとそうなるわけでなく、糖尿病のコントロールがとても悪い一部の方々で合併症を起こします。
診療のご案内:「糖尿病の合併症」
専門クリニックに定期通院していただき、医師や看護師の指導の半分でも守って頂ける方であれば、ほとんどは問題ないのが実際です。
しかし、定期通院せずコントロールを放棄すれば合併症は免れません。自覚症状なく合併症が進展するのが糖尿病の恐ろしい部分でもあり自覚症状のみでは判断ができません。
神経症、網膜症、腎症のステージは把握できていますか?基本的には自身で把握している必要があります。当院では専門クリニックならではの合併症の評価を行っております。
自身の(もしくはご家族の)糖尿病の合併症の状態がわからない という方は是非ご相談下さい。(目の合併症は眼科を御紹介いたします。)
お酒やタバコはやってもいいですか?
アルコールは量と頻度を守れば可能です。院長もお酒は飲みます。しかしとてもひどい状態の糖尿病であれば禁止が必要になることもあります。
アルコールと言っても様々です。蒸留酒とそうでないものの違いは分かりますか?アルコール1gあたりのカロリーは分かりますか?
アルコールの副次的な作用についても知っておく必要があります。
タバコに関しては原則不可です。しかしもし喫煙されている方は遠慮なく隠さずおっしゃって下さい。
タバコが肺や全身の血管を傷つける事は皆様ご存知のはず。やめる気が全くないというのであれば治療は難しいですが、自身の健康を維持したくない方はあまりいないはずですよね。肺がんに進んでなりたい人はいませんよね。
なぜ、やめられないのか、どうしたらやめられそうか。ご相談下さい。

最後に

糖尿病は決して恥じる病ではありません。
人それぞれに生活が有り、生き方、価値観というものがあるはずです。
しかし面倒だからといってこれらの疾患を放置をすることで非常に困難な事態に直面する可能性の高い病気でもあります。
また自覚症状が出てからの治療では手遅れな事があるのも事実です。
日常生活の中でほんの少しづつでも、疾患を理解し、血糖値をコントロールしてゆくことが治療につながります。
また、ゴールの見えない治療は辛いものです。患者さんとは定期的な通院の中で、適切なゴールを設定してそれを目指す治療を医療者と患者さんで2人3脚で行えればと考えています。
当院では糖尿病のコントロールで重要な血糖値、ヘモグロビンA1c(エーワンシー)、尿検査の即時結果報告が可能です。
特にヘモグロビンA1cと血糖値については最短で採血後約70秒で結果報告が可能です。
設備機器紹介:「ADAMS HYBRID AH−8290」

地域の皆様の御健康と笑顔を少しでもサポートできるような明るく親身なクリニックを目指して頑張ってゆく所存です。

院長 田中栄太郎